今年で放送50周年を迎えた『ウルトラマンタロウ』。作品の撮影で実際に使用されていたミニチュアの一部が、現在須賀川特撮アーカイブセンターに収蔵されています。今回はそのうちのひとつである「スカイホエール」について、修復の過程も交えながらご紹介します。
1.ウルトラマンタロウ
『ウルトラマンタロウ』(以下『タロウ』という。)は、1973年から1974年にかけて放送された、「ウルトラマンシリーズ」第6作目となる特撮ヒーロー番組です。1973年は円谷プロダクションが創立10周年を迎えた年であり、『タロウ』はその記念作品のひとつとして制作されました。
『タロウ』は、ウルトラ兄弟や父と母が幾度も登場し、おとぎ話をモチーフにしたエピソードなどエンターテインメント性の高さを特に強く打ち出した作品でした。その明るく前向きな作風は、メインの視聴者である当時の子ども層に広く受け入れられただけでなく、今もなお多くのファンの間で根強い人気を保ち続けています。
『タロウ』には、ウルトラマンシリーズではおなじみの防衛チームとして、宇宙科学警備隊「ZAT」が登場します。ZATもまた『タロウ』のコンセプトにマッチした、実力派ながらも仲の睦まじさを兼ね備えたアットホームな集団として描かれています。
さて、防衛チームの目玉といえば戦闘メカですが、ZATが保有するメカはどれも個性的で、作中の様々な場面で活躍しタロウをサポートしました。中でもその主軸となるのが「スカイホエール」です。スカイホエールは全長60m、重量50トンの大型航空機であり、劇中に登場する中ではZAT最大の戦闘兵器です。最高速度はマッハ3.3に達し、宇宙航行さえも可能なその機動力の高さを活かして、ほぼ全ての回に登場し任務を遂行しました。
次ページでは、スカイホエールのミニチュアを確認しながらその魅力に迫っていきましょう。