須賀川特撮アーカイブセンター

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【収蔵資料紹介①】戦艦三笠

【収蔵資料紹介①】戦艦三笠
須賀川特撮アーカイブセンター収蔵庫でも大きな存在感を誇る「戦艦三笠」。須賀川市出身の円谷英二監督が最後に特撮監督を務めた長編映画『日本海大海戦』で使用されたミニチュアです。今回は「戦艦三笠」の、その概要と修復作業についてご紹介します。

 

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戦艦三笠

1.センター収蔵までの経緯

 

センターに収蔵されている「戦艦三笠」は、日露戦争を題材とした映画『日本海大海戦』(1969年公開 監督:丸山誠治 脚本:八住利雄 特技監督:円谷英二)で使用された、大型船舶ミニチュアです。映画には数多くの艦船が登場しますが、センター収蔵の「戦艦三笠」をはじめ、3m級のミニチュアだけでも42隻もの数が作られました。これらのミニチュアを使用した撮影は、東宝映画撮影所(現・東宝スタジオ)にあった特撮用大プールで撮影され、プールの大きさは約4000m²と当時では世界最大の大きさを誇ったことで有名です。なお、須賀川市・円谷英二ミュージアムには『日本海大海戦』撮影時の様子を再現したジオラマが展示されています。

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円谷英二ミュージアム内「特撮スタジオ」

 『日本海大海戦』で使用された艦船のミニチュアは、東宝特殊美術課の特殊美術係(通称・特美)の面々が中心となって制作し、船体の成形や塗装などを行いました。なお、他にも金属加工会社である戸井田工業が煙突、光製作所が砲塔などの金属パーツを作ったことが残存する制作資料から分かっています。

撮影が終了したあと、「戦艦三笠」や輸送艦、駆逐艦(ともに特撮アーカイブセンター収蔵)のミニチュアは、映画のプロモーションのため全国の映画館を巡回し、名古屋市の映画館で最後に展示されたのち、個人の手に渡りました。現在はNPO法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)が寄託を受け、須賀川特撮アーカイブセンターに収蔵されています。


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